Q&A
骨髄・末梢血幹細胞の提供について
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Q.1
骨髄バンクのコーディネーターはどんなことをしているのですか。
A.1骨髄バンクのコーディネーター(=ドナーコーディネーター)は、ドナーおよびドナーの家族への説明、また、担当調整医師、地区事務局、採取病院などドナー側の連絡調整を担当しています。
ちなみに患者さんのコーディネート上の様々な連絡調整は、患者さんの主治医(登録医師/移植医師)が行い、手続きについては、院内のHCTC(※)が行うこともあります。- HCTC:Hematopoietic Cell Transplant Coordinator
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Q.2
適合通知が届いたドナーは希望すれば必ず提供できるのですか?
A.2適合通知が届いた段階では、まだドナー候補者のお一人です。健康状態や、その他の状況を総合的に判断し、最も移植に適した方を患者側の主治医が決定します。
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Q.3
採取後、すぐに仕事や学校に復帰できますか?
A.3採取後は通常2~3日間入院し、安静に過ごしていただきます。通常は退院後から普通の生活に戻れますし、復職・復学が可能です。なお、しばらくの間、針を刺した個所は清潔に保ち、過度の運動は避けるようにしてください。
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Q.4
提供方法は誰が決めるのですか?
A.4ドナーの意思を踏まえて、最終的には患者側が決定します。ドナーには、確認検査時に骨髄提供と末梢血幹細胞提供の方法について詳しく説明します。承諾できない方法があれば、その時に伺い、これを患者側にお伝えします。最終的には患者側が移植方法を決定します。いずれにしてもドナーが望まない方法が選ばれることはありません。
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Q.5
骨髄・末梢血幹細胞の提供は何回できますか?
A.5骨髄バンクでは、血縁・非血縁に関わらず、骨髄と末梢血幹細胞を合わせて2回まで提供可能としています。骨髄バンクはドナーの安全性を最大限確保するために回数の制限を設けていますが、血縁者間の提供の場合は医師の判断によります。
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Q.6
採取による健康への影響はどのようなものでしょうか?
A.6<骨髄採取>
採取翌日の症状として「38度以上の発熱」や「排尿時の痛み」などが報告されています。
発熱や血圧低下など合併症は数%起きており、骨髄バンクにおいて後遺障害保険が適用されたのは、これまでに53例あります(2019年3月末現在)。詳しくは「提供者のアンケート結果」をご覧ください。<末梢血幹細胞採取>
末梢血幹細胞採取の前に白血球を増やす薬(G-CSF)を注射しますが、その影響による症状(副作用)として、骨痛(腰痛、関節痛等)、だるさ、頭痛などが現れることがあります。また、採取中には、採取した血液が固まるのを防ぐ薬が添加されるため、手足や口のまわりにしびれなどが出る場合があります。
なお、G-CSFは平成3年に承認された薬であることもあり、健康な方に対する数十年といった長期的な安全性を確認する目的で科学的データを収集中です。また、提供のリスクについてはこちらをご参照ください。
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Q.7
過去に死亡事例はありますか?
A.7日本の骨髄バンクを介した骨髄・末梢血幹細胞提供では、一例もありません。
<骨髄採取>
過去に海外で5件(血縁者間3例、非血縁者間2例)、日本で1件(血縁者間)のドナーの死亡事例が報告されています。健康なドナーであっても通常の手術と同様に、麻酔中に緊急の処置を行う必要が起こる可能性がわずかにあります。そのため採取病院では、ドナーの安全を確保するため最大限の注意をはらい、万全の態勢で骨髄採取が行われています。<末梢血幹細胞採取>
海外では、「末梢血幹細胞採取との因果関係は明らかではないが、否定できない」とされた採取後30日以内の死亡事例は12例把握されています。このうち多くはドナーが高齢であったり、基礎疾患を有していた等、何らかの危険因子があったとされています。詳しくはこちら
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Q.8
適合のお知らせはどんな方法で来るのですか?
A.8SMSでお知らせいたします。
- 携帯電話番号のご登録のない方には郵送書類でお知らせいたします。
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Q.9
確認検査はどこの病院でも受けられますか?
A.9調整医師(※)が所属している病院で受けていただきます。ドナーの居住地に近い施設をご案内しますが、混みあっている場合などは、ご希望に添えない場合があります。
- 調整医師とは、日本骨髄バンクが委嘱した、骨髄・末梢血幹細胞の採取と移植について熟知している医師です。
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Q.10
骨髄・末梢血幹細胞の提供に家族の同意が必要なのはなぜですか?
A.10ドナー候補者は成人ですから、法的にはご家族の同意は必要ありませんが、実際にはご家族などの支援・協力が不可欠です。また提供の直前に、ご家族の強い反対でドナーが同意を撤回すると、患者は致命的な状況に陥ってしまいます。そうした事態を招かないためにも、ご家族の同意が必要です。最終同意面談は、未婚の方はご両親、既婚の方は配偶者の同席が原則です。同席者がいない場合や、やむをえない事情があるときは、コーディネート開始後、コーディネーターにご相談ください。
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Q.11
提供を途中で断ることはできますか?
A.11候補になった時点や、確認検査の段階ではお断りいただく事は可能です。ただし、確認検査の結果、提供ドナーとして選ばれると、最終的な提供のご意思の確認をします(最終同意面談)。そこで最終同意書にご署名いただくと、患者側は移植が受けられるという前提で移植の準備を進めます。特に移植のおよそ2週間前からは最終段階となる前処置(※)に入るため、それ以降にドナーが同意を撤回すると、患者の命にかかわることもあります。提供するかどうかは、早い段階からよくお考え下さい。
- 前処置とは、移植の準備のため、大量の抗がん剤投与と全身放射線照射により、病気になった造血機能をいったん破壊することです。
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Q.12
献血は継続しても大丈夫ですか?
A.12コーディネート開始以降は貧血や検査データに異常値が出る可能性があるため、控えていただいています。なお、採取後は6か月経過すると献血が可能になります。
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Q.13
服薬中、治療中のものがありますが提供できますか?
A.13原則、服薬中や治療中はコーディネートを進めることはできません。ただし、状況や内容によっては、相談可能な場合もありますので、コーディネート中であれば担当コーディネーターや事務局に必ずご連絡をいただくようお願いいたしします。
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Q.14
ピアスを開けたり、タトゥーがあると提供できませんか?
A.14提供は可能です。ただし、ピアスを開けたり、タトゥーを入れたりした時期や部位によってはコーディネートを進められない場合があります。
ピアスを開けてから1か月以上経過し、局所の炎症がない場合は提供可能ですが、1年以内に他人と器具(ピアッサー)を共有した場合や、唇・鼻などの粘膜を貫通しているピアスの場合は、患者側の主治医による確認が必要となります。
また、1年以内にいれずみ(アートメイクを含む)をした場合も、患者側の主治医による確認が必要となります。 -
Q.15
海外への旅行や出張、長期滞在が予定されているのですが?
A.15渡航先の地域・期間によって対応が異なりますので、骨髄バンクまでご連絡をお願いします。なお、海外から帰国後28日以内の提供はできないことになっています。採取予定日の1カ月以内の海外渡航は、自粛をお願いしています。
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Q.16
海外に一定期間滞在すると提供できませんか?
A.16クロイツフェルト・ヤコブ病やマラリア、シャーガス病などの感染症を未然に防ぐ観点から、渡航した地域、時期、期間によってはコーディネートを進められないことがあります。
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Q.17
海外在住ですが、提供できますか?
A.17原則、日本国内在住の方のみコーディネートが可能です。コーディネート期間中は何度も国内の骨髄バンク認定施設にお越しいただく必要があること、また感染予防の観点から帰国後は提供まで一定期間をあける必要があるためです。
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Q.18
提供時の休業補償はありますか?
A.18登録や提供の際に仕事を休まれても、休業補償はありません。なお、官公庁や一部の企業などで「ドナー休暇制度」及び、一部の自治体で「ドナー助成制度」を導入しているところもありますので、ご希望の方には証明書を発行いたします。
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Q.19
提供にはお金がかかりますか?
A.19提供のための検査費用、入院費といった費用などはかかりません。また施設へお越しいただく際の交通費は実費をお支払いします。
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Q.20
骨髄バンクで提供した後、身内や身近な周りの人が発症したとき、もし自分と適合したとしても提供できないのでしょうか?
A.20骨髄バンクはドナーの安全性を最大限確保するために回数の制限を設けていますが、骨髄バンクでの提供後に血縁者間で骨髄または末梢血幹細胞提供の必要があった場合は、その時の担当医や施設の判断になります。
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Q.21
患者さんに連絡することはできますか?
A.21患者とドナーの相互の情報はお伝えしておらず、直接患者さんと連絡することはできません。これは、骨髄バンクの公平な運営と、相互のプライバシーを守るためです。
面会やプレゼントのお取次ぎはできませんが、お手紙は個人情報を含まない形で、提供後2年以内に2回まで出すことができます。
なお、患者からのお手紙をSNSなどで公開することは禁止していますのでご理解ください。