4回目の適合通知で末梢血幹細胞提供に至った植木さん。家族の心配も職場の応援も自らを支える力にして、貴重な経験を真摯に受け止めていった姿が胸を打ちます。
(この体験談は、日本骨髄バンクニュース第53号[2018年12月5日発行]でもご紹介しています)
PROFILE
植木亜貴さん
私の会社では毎月、業務以外のことで活躍した社員を表彰しており、そこで同僚が骨髄提供の体験談を語ってくれたことがきっかけで、2011年12月にドナー登録をしました。
適合通知が来たのは2014年4月でした。「ついに来た!」と、ドキドキしながら封筒を開けたのを覚えています。1回目、2回目、3回目と進まなかったのですが、4回目の適合通知で提供まで進みました。自分でも何か役に立てることがあるといううれしさで、あまり不安や心配は感じませんでした。ただ、父親はリスクに関して心配しており、何かあったらという気持ちが大きかったのだと思います。いただいた冊子で説明したり、面談の際にコーディネーターの方や医師からしっかりと説明をしていただけたことで、父親も安心し同意してくれました。
また、会社の理解もあり、「頑張ってこい!」と上司に言ってもらえたこともとても励みになりました。実際の提供は、末梢血幹細胞採取だったため、少し長めの成分献血という感じで、医師の方も常に近くにいてくださり安心できました。しいて言えば、採取前に数日間注射をし、その影響での骨の痛みは今まで経験がないものでしたが、鎮痛剤で問題なく過ごすことができました。
入院中、七夕の時期が近く、病棟に笹の葉と短冊がありました。そこに入院されている患者さんたちの、自分も大変なはずなのに、自分だけでなくみんなが治るようにと願い事が書いてあるのを見て、自分や家族が健康に過ごせていることへの有難さ、命の重さを感じ、自然と涙が出たことを覚えています。
貴重な経験をさせていただき、コーディネーターの方をはじめ、サポートして下さった方々には本当に感謝です。産まれてくる子どもにもこの経験を通し、命に関して考えるきっかけを作っていきたいと思います。