テレビ東京の経済ニュース「ワールドビジネスサテライト（WBS）」でマーケットキャスターを担当している豊島さん。提供時のことを振り返って、お話を伺いました。

取材でお世話になっていた証券会社の方が突如、急性白血病で入院されました。家庭ではよき父親でもある働き盛りの男性です。とても心配でした。ごくわずかでも役に立てる可能性があるならば、それはドナー登録かもしれない。そう思ったのが登録のきっかけです。人生はいつどうなるか分からない。自分がもし白血病になったら、骨髄バンクを頼るだろう。健康な今は「頼られる側」になっておこうと思いました。その証券会社の方は、抗がん剤治療を乗り越え、無事に回復され、今でも取材でお世話になっています。

私の体調管理にミスがあってはならない。交通事故なんかにも絶対あってはいけない。毎日オンエアがあるので体調には特に注意していますが、このときは一層気を配って過ごしたのを覚えています。「誰かのために生きる」毎日というのは、生き甲斐を強く感じることができる日々となりました。

福岡の両親は「人のためになるなら」と最初から理解してくれました。最終同意書にサインしてくれたのは私と同じく東京に住む弟です。弟はその頃父親になろうとしていました。私の移植をきっかけに、弟夫婦は臍帯血移植に対応した病院をかかりつけに選びました。既にとある産婦人科に通っていたのですが、そこは臍帯血移植に対応していなかったのだとか。家族に起こった一つの変化でした。

提供後、患者さんとその奥様から丁寧なお手紙を頂きました。白血病と宣告されたときは夫婦で目の前が真っ暗になったこと。それでも二人で手を取り合って移植の日を迎えたこと。そして感謝の言葉。最後まで丁寧な字で綴られていました。どこにお住まいのどなたかは分かりません。しかし、一切の匿名性を超え、不思議な命の繋がりみたいなものを感じることができたように思います。それはかつてない強烈な経験でした。自分は医者ではありません。人の命を救ったりすることもできません。でも骨髄移植なら、誰かの命の助けになることができる。提供後1年間はドナー登録保留ですが、登録継続するつもりでいます。

放送後の反響が大きく、番組の公式ツイッターやフェイスブックではドナーさんや患者さんが多くの書き込みをされていました。仕事、プライベートの両面を通じて自分の体験を積極的に伝えていければと思っています。