“施術することで成長させてもらえる”
その言葉をきっかけにアロマセラピストの道へ。
闘病体験を経て、心と体を癒す植物療法に巡り合った佐藤さん。
SNSを通じて活動の場を広げ、患者さんの支援活動も行っています。
(この体験談は、日本骨髄バンクニュース第58号[2021年7月1日発行]でもご紹介しています)
PROFILE
佐藤 真夕(さとう まゆ)さん
その頃佐藤さんの心を悩ませていたのは、若い年代の移植患者にとって共通の妊孕性の問題。抗がん剤治療に伴う生殖機能へのダメージを考慮し、必要に応じて卵子や精子を保存する対応を行います。しかし、抗がん剤投与の都合でタイミングが難しく、こうした保存がかなわない場合があります。後に結婚適齢期を迎える頃になると、不妊の問題が大きな悩みを抱える原因に。佐藤さんも同様のケースで精神的に不安定な状態に陥りました。
植物療法で体が安定すると、「女性として生まれた意味や、不妊になった意味が冷静に考えられるようになりました。自分は母親にはなれないかもしれないけれど、"誰かの人生に伴走できるかもしれない"と思えるようになりました」と語ります。
そして人の痛みがわかる人になろうと、アロマセラピストの道へ。「最初、"施術することで成長させてもらえる"と聞いたときは不思議に思いました。けれどいろんな人と接して世界が広がり、安心感と自己成長につながりました。人の話を聞くようになって変わりました」
現在の仕事は、"健康自立"を促すことも含まれるという佐藤さん。「何よりも健康がなければ幸せじゃないと思います。明日は我が身と思って生きてほしい。自分の大切な人が血液のがんになった時を考え、提供する患者さんを選ぶことはできないけれど、骨髄バンクに登録することはいいことだと思います。提供するために今ある健康を保つことは、自分の健康を見つめることにもなるかと。ドナー登録して、健康を維持することは自分の一生のためともいえるのではないでしょうか」と語ります。
現在、仕事のかたわら、移植を受けた病院内に移植患者をフォローするサークルを立ち上げ、患者さんを支える活動を開始。インスタグラムの投稿で患者さんの相談も受け付けています。多忙な中、もう1つ忘れてならないと考えているのは、地元静岡のドナー登録者を増やすこと。重い病を乗り超えて、生きる意味を見つめた人の熱いエネルギーを感じました。