消防士として働く外山さん「末梢血幹細胞提供をしたことは人生で一番の誇りです。」と語ってくれました。
PROFILE
外山岳(とやま がく)さん
2022年末梢血幹細胞提供
大阪府在住
消防士
一般社団法人 いのちを繋ぐ GOOD LUCK 代表理事
適合通知が届いた時、消防に関するイベントを企画しており、本番を明日に控えたタイミングでした。「誰かのために」という思いでイベントを企画していたので、このタイミングで適合通知が来たことには運命的なものを感じ、とても嬉しく思いました。
家族には事前にドナー登録をしていることを伝えていたため、理解がありました。妻は提供に快く了承してくれ、両親も「心配はあるけど息子として誇りに思う」と言ってくれました。自分だけじゃなく家族にも喜んでもらえたのは嬉しかったです。当時6歳と4歳の子どもは理解できる年齢ではありませんでしたが「いってらっしゃい」と見送ってくれました。将来、子どもが大きくなったらこの経験を伝えたいと思っています。
事前に先生や看護師さんから丁寧に説明していただいていたし、提供経験のある仲間からも「痛くなる」と聞いていたので、心の準備はできていましたが、細胞を増やす注射を打った後はやっぱり腰が痛くなりました。でも、体の中でどんどん細胞が増殖して、提供に向けて体が準備をしているんだなと実感することができたので、結構痛かったんですけど、痛み止めも飲まずに過ごしました。これから末梢血幹細胞提供をされる方は、痛かったらぜひ痛み止めを飲んでください(笑)
採取には5時間ほどかかり、その間身動きが取れないのは大変でした。しかし私の苦しみが確実に終わるとわかっているのに対し、患者さんは移植後もいつ治るかわからないなか戦うことを考えると、全く辛く感じませんでした。採取翌日には痛みもなく、退院した次の日には消防士の仕事に復帰しました。
提供後も患者さんのことが気になっていたので、お手紙が届いたときはすごく嬉しかったですし、ほっとしました。手紙の内容はすごく感動的で、一番辛い思いをしているはずの患者さんが、私にすごく感謝を伝えてくれて「人のために生きたい」と書いてあったのが印象的でした。私は今まで辛い経験をしてきたんだから、今後はぜひ自分のために生きて欲しいと思ったんですけど「誰かのために」と思えるっていうのはすごく不思議だなと思いました。